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目の前で優しく微笑むのは、山中の漆器業界できわめて稀な女性木地挽き職人。
しかし、そんな気負い、この人には微塵も感じられない。
「高校や短大でモノづくりを少しずつ勉強するうち、面白そうだなと思って。何の先入観もなかったんです」。
お父さんは蒔絵師。粉クズまみれの土間作業場で、一日の大半を木片と向き合いながら過ごす木地挽きの厳しさはよく知っていたはず。
だが意外にも反対はなく、思い通りの道を選ぶことができた。 研究所や工房では、木を削り形にしていく毎日。 いろいろな木との出会いの中で、見つけたのが「栃」の木だ。挽き心地がやわらかで自分に合っている、と感じた。 |
今回の作品はすべてこの木で作られている。柔らかな漆の色調と、やや小さめのフォルムの器たち。
「ピカピカできちっとしすぎたものは日常になじまない」と表面に和紙を張り、少しざらついた質感に仕上げてある。
網目のような模様は、蓮やレースのイメージがふくらんだもので、お香で焼いたという不揃いな穴がなんともチャーミングだ。 女性が普段の生活で使いたくなるかわいい器がテーマ。 ではアナタにとっての「かわいい」とは?との問いかけに、しばし考えた後「一瞬で引きつけられて、ずっと飽きないもの」という答えが返ってきた。 しなやかさの内側に確かなものを模索する新しき人は、漆器の枠組なんて軽やかに飛び越えていくのだろう。 |
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