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使うほどにじわじわと好きになっていくモノがある。弦巻さんが作るのは、そんな器である。 色絵や染め付けで描かれた柄のモチーフは植物や動物、古典の写しなどさまざまだが、それらが個性を主張しすぎることはない。 むしろ一見スタンダードな印象を受けるほどだ。しかし使っていくうちに、味わいや面白みがじわじわと分かってくるのが彼女の器である。 今回紹介している放牛文のそばちょこなどは特にそうだ。シンプルな麦わら手だが、つゆを飲み干すと底になんとも愛嬌のある牛の絵が現れる。 「牛が好きなんですよ。麦わら手の縦縞は、実は牧場の柵ということになっています」と茶目っ気たっぷりに笑う。 |
普段使う食器は、使いやすくて飽きがこず、愛着を持てるものがいい。
大切なのはインパクトよりも、より使いやすい形、重さ、手に持った感触だと彼女は考える。
だから器は作りっぱなしにせず、自宅で実際に使ってみてさらに改良を加えてゆく。
その過程で、先ほどのそばちょこの牛のようなささやかなユーモアを忘れないのも彼女の魅力だ。
目指すのは「使えば使うほど、なんだかいい!と思える器」なのである。 四季の移ろいを感じながら散歩するのが楽しみだという。草花や空を眺めてイメージをふくらませることも多いとか。 何気ない日常の良さを知っている人の器は、日常の食卓も「なんだかいい!」と思わせてくれる。 |
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