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手にとると驚くほど軽い。表面にのせた線や点には、今にも動き出しそうな躍動感がある。
この軽やかな銘々皿で「料理を取り分ける前の心躍るような気持ちを後押しできたら」と徳田さんは思う。 彼女の持ち味は、その線や点、面の生かし方にある。 数々の展覧会で活躍してきた造形作家として、行き着く先は「1本の線」だった。 先ほどの銘々皿に施されたさりげない線にも、そのこだわりが垣間見える。 色をのせる前に針先で線刻することで、1本の線に柔らかさだけでなく凛々しさが加わる。 線だけでなく色のバランスなども、実に巧みに計算されていながらそれを感じさせない軽やかさが、彼女の作品にはある。 |
もう一方の「光の雫」シリーズは、楽しみがふくらむような器をと、満を持して制作した新作だ。
ベンガラを使って微妙な色むらを表現した黒に、すがすがしい白。いずれも金色の点を散りばめてあり、光が燦々と降り注ぐ光景を思わせる。
どんな料理も映えそうですね、との言葉に、「そう、ひと目見た時にパスタを盛ろうかな、いや煮物がいいかも、
と想像をふくらませてもらえれば何より」と朗らかに笑う。 彼女の器を見て次々とイメージが湧くのは、そこに生命感があるから、というと大げさだろうか。 制作の過程を彼女は「土にのり移る感じ」と表現する。1本の線や1個の点が生き生きとしていることには、ちゃんと理由があるのだ。 |
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