祖父の代から木地挽き職人の家に育ち、いつも身の回りには漆器があった。
幼い頃から工作などのものづくりはお手のもの。家業につくのはごく自然な成り行きだった。
そんな天平さんが3年前から熱中しているのが、木のアクセサリー作りだ。
奥さんの誕生日プレゼントにと、仕事の合間に指輪を作ってみたところ、これが大好評。
コンペ出品でも受賞が続き、彼の代表作となった。
ピアスが似合う天平さん自身も元来のアクセサリー好き。コロンとした大ぶりな指輪は、木が素材のせいか、洒落ていながらもどこかあたたかみを感じさせる。
スタイリッシュ、カジュアルといった現代のファッションにしっくりとなじむデザインも魅力だ。
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材料にはカリン、黒柿、紫檀、黒檀といった木目や木肌が美しい銘木を使う。
銀色の細かなドット模様は筆で描いたものでなく、シルバーワイヤーを打ち込んだ象嵌仕上げ。
ラフな作品のように見えても、しっかりとした仕事で裏打ちされている。「これからは『作る人=売る人』になっていく時代。
単に技術を見せつけるというのではダメ。自分らしさと使い手のニーズのバランスのとれた作品が理想ですね」。
指輪にはめ込んだ石には、ターコイズやタイガーアイなど、幸運を呼ぶ石として人気のあるものを使用。
たとえ漆器を知らなくても、この指輪を手に取る若者は多いに違いない。
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