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銅、銀などの地金の表面を0.1ミリ単位で彫り削り、削った部分と寸分違わぬ形の異種金属を埋めて打ち込む。
それが加賀象嵌である。無類の堅牢さを誇るこの技術を代々の職としてきた加澤家で、日本屈指の名職人、加澤美照さんを父に、かおりさんは生まれた。 多様な職業を経験したが、今思えば常にものづくりに関わっていたと語る。 人間らしい地に足のついた仕事がしたくなった時、目の前にあったのが家業であり、父の仕事をする姿であった。 本来、加賀象嵌は馬具や武具の細工が主であったため、タフで男性的なイメージが強い。 だが、花や生物を扱うかおりさんの作品には、従来品にない個性がある。 |
逞しさは内に秘められ、穏やかで優しい表情が浮かぶ。自分で見たものしか作らない、という彼女。
現在は白山の動植物と格闘中である。 「先日も、大変貴重な楽器のケース用にとのご注文で錠前を作りましたが、一品一品手づくりで高価な加賀象嵌は、オーダーメイドが主体。 使う方とのコミュニケーションが特に大切ですね。使う方と気持ちが通い、ひとクラス上の満足を提供できるものを作っていければと思っています。 金工を広く知っていただくために、レリーフ制作キットもあるんですよ」。 金属という限られた素材からどんな表現が紡ぎ出されるか。今後の彼女の活躍が大いに期待される。 |
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