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日本の伝統的なものをたしなむ老婦人が、孫娘とお茶を楽しむなかで和の文化を伝える。
そんな場面を想定した時に浮かんだ器のイメージがこの茶器一式。当初は小花や唐草の文様だったが、いまは青海波を描いた赤絵金彩が気に入っている。 以前の作風は、柔らかな円いかたち、情緒的なライン。 それが自分の本質だと思っていたが、自らの殻を破るべく直線的なものを作り始めた。 また、日常的に使える、愛用されるものでなくては価値がない。 そうした思いから、作りたいものという起点から取り組んだ作品も、使うという視点で改良を繰り返す。河内さんは常に自分の作品を真っ向から凝視する。 |
だが、思考を重ねるあまり、力みすぎた作品になってしまったり、思考の糸に絡まって創作できなくなったりという状況に陥ったりもした。 そんな手探りの中で参加した、石川県デザインセンター主催のセミナー。 デンマークのデザイナーが語った「ものづくりには哲学が必要。自らの価値観を伝えられる作品でなくてはいけない」という言葉に背中を押される。 そして、折々の行事食や日本料理、多様な器使いといった食の世界、あるいは伝統の文様など日本古来の豊かな文化に心を寄せるようになったという。 「作り手の意気込みがわかってしまう作品ではなく、人の心を和ませるものを作りたい」。 柔和な笑みを浮かべながら、つねに河内さんは赴く先をしっかりと見据えている。 |
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