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日本人が長年親しみ、いつも心に宿らせているかたち。そのシルエットを見るだけで心が優しく穏やかになるかたち――そんなかたちが今回、木の小物シリーズmottca(もっか:“木の香”の意)となって登場した。 mottcaを手がけた山下さんは、住宅関連機器の分野で活躍する工業デザイナーでもある。時間に追われながら製品を作る日々を送っているうちに、何かモヤモヤしたものが心にたまってきた、という。 「一般的な工業製品は使い捨て。できあがった瞬間がベストで、後はデザインも性能も古くなっていくだけです。だから逆に、生活に溶け込み、使い込むほどによくなっていくモノが作りたくなって…」。 |
それゆえmottcaでは、奇を衒ったり存在を誇示するデザインではなく、心の原風景に存在するかたちが、そのまま素直に実用品として表現されている。「お菓子のうつわ」は、正月のシンボル・鏡餅や、つるりと手で撫でた経験を想起させる擬宝珠がモチーフ。「お香たて」は水滴が水面で波紋を描くさまを、「針のうつわ」は福を呼ぶダルマを表している。 思わず手にとって慈しみたくなる親しさに、どこか新鮮な魅力を秘めたmottca。これらは、デザイナー山下さんと山中塗の工房とのコラボレーションだ。「工業製品でもクラフトでもない、中間あたりが私のポジショニング」と語る山下さん。美しい山々を望むオフィスで、独自のモノづくりが着実に進められている。 |
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