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九谷焼の窯元・九谷美陶園には、上質でハイセンスな器を求める客がひっきりなしに訪れる。例えば、シンプルな皿。大きめサイズならワンプレートディッシュやパスタなどはもちろんのこと、煮魚を盛り付けてもさまになる。同じ柄の小さめサイズと重ねて使ってもおしゃれだ。 デザインを手がける寺前さんが、常に意識しているのは「使いやすさ」。朝でも夜でも料理の内容を選ばない、実用的で洗練されたデザインのテーブルウェアなら、おのずと活躍の機会も多くなる。「私のところはこのお皿1枚で、トーストでもカレーでも何でも来いよ」。自身が使い手だから、使い手の気持ちをくんだ器が次々と誕生するわけだ。 |
気の張るゲストを迎える時のために格調高い古典九谷も手がけるが、全体的には柔らかくのびやかな絵柄が特徴。決まりきった同じ形になってしまうからと、ロクロを使わず手起こしで成型する温かな手触りの器も多い。九谷焼だからと身構えるようなところがないのは、お気に入りの器とともにある生活を、寺前さん自らが実践しているからだろう。 「家族で食卓を囲むとか、ゲストを呼んでホームパーティを開くとか、人が集まるというのはやはり楽しいことですものね」。個食時代といわれる現代で、お気に入りの器が人の集まるきっかけとなり、テーブルに潤いを与えてくれるとしたら、それはどんなに素敵なことだろう。 |
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