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九谷焼を普及するために、東さんはまず若い人をターゲットにした遊び心いっぱいの器を作ろうと考えた。「伝統工芸というとっつきにくいイメージを、とにかく取り払いたかった」という。二重底に土の玉を入れ、飲むたびにカランコロンと朗らかな音をたてる土鈴風の杯や、寝そべる猫をモチーフとした箸置き。それらは、一瞬であってもテーブルでの話題をさらう主役級の一ひねりを持っている。 九谷焼の世界に入る前は、建設機械の設計をしていた。カラクリ器械を思わせるデザインのアイテムを見れば、それも納得できるというものだ。宇宙ステーションをイメージした酒器セットはいわゆる |
徳利と盃の合体型で、これなら手酌ですら楽しみに変えてしまう。 ロボット型の調味料入れも、コルクの蓋を開けて中身を入れ、目や鼻から出るというユーモラスな仕組み。「器そのものが楽しければ、九谷焼を手にとってくれる人がもっと増えるかもしれないですよね」。そんな思いが、器には込められている。 それほどまでに九谷焼に熱い思いを寄せている東さんだからこそ、どんなに個性的であっても九谷の特徴である白い磁器と五彩だけは譲れない。遊びと楽しさが詰まった作品たちは、九谷焼が背負う歴史や伝統という重さを感じさせないが、確実に九谷焼ファンを増やしていることだけは間違いないだろう。 |
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