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桐本木工所は昭和の初めに、泰一さんの祖父久幸さんが創業し、泰一さんが三代目の朴木地(ほうきじ)屋です。朴の木は加工しやすく、御膳や卓の猫足やしゃもじ等によく使われているものです。奥様の順子さんは大阪のご出身。泰一さんとはコクヨの同期で同じバスケットボール部。オーストラリアの小学校で日本のことを教えてみたりと国際派だったのに、泰一さんに遠くからの3点シュートに見せかけて、鋭く切り込みダンクシュートをドスンと決められ、結婚11年目。三人のお子さまにも恵まれました。最初のお子さんはプラスチックの食器で育てたけれど、二人目からは環境ホルモンの問題が気になって、歯がためには漆のものがいいよとの大おばあちゃんからの教えもあって、もったいないけど漆の器を使ってみました。 | 泰一さんもこれには喜び、木地師の誇りにかけて金属のフォークやスプーンを使っても傷のつかない蒔地技法を応用した強い器を作りました。ぐい呑みは子供の湯飲みに、豆皿は子供のお皿にちょうど良くて、大阪の親戚や友達から「いいわねぇ。本物の漆器で育てているの」と羨ましがられて、他人事だった家の仕事が自らの関心事になってしまった順子さん。いろいろなものが安く買える時代、親も安いものだとつい粗末にしがちですが、子供たちを大切に育てたいから、幼いからもったいないではなく、幼いからこそ本物に触れさせたいと願っている二人です。 |
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