見晴しのいい高台に工房を構え、朝は暗いうちから畑で手作りの野菜も作っている自然派で、自分は工業デザイナーと思っているのに、まわりの誰もが「クラフト作家」と信じて疑わないのが棒田和義さんです。
棒田さんは、金沢市生まれ。金沢美術工芸大学工業デザイン専攻を卒業後、名古屋の鳴海製陶に入社し、商品企画部で洋食器の企画デザインを担当していました。そのうち洋食器の経験を和食器に生かしてみたくなって帰って独立。
漫画やイラストも得意だそうで、工房は「イラス陶窯・アトリエBODA」と漫画みたいな名前です。 当初は、工業デザイナーとして、山中漆器の量産品のデザインをしたり、石川県九谷焼技術研修所で商品企画を教えていましたが、やはり「やきもの」が忘れられず、それまでためていたラフスケッチを元に試作しました。 |
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するとまわりの皆に「新鮮ね」と誉められ、すっかりその気に。そして、石川県九谷焼技術研修所が東京・三越で開催した小皿展に出品させてもらったところ、完売。自分の思うところがお客様に喜んでもらえたんだと嬉しく思い、ますますその気に。
大量生産品は使っていても愛着がわきにくく、またコンペや展示会のためのデザインは造形が優先し生活から離れてしまっているようだという思いから、気にいってくれた人に、大切に使ってもらえるもの作りを目指しています。
今回ご紹介するのは「街角絵皿」。以前旅行した、フィレンツェやパリ郊外の街角が絵柄のモチーフになることが多いそうです。和食器の良さと洋食器の良さを合わせ持つ、棒田さんの提案する新しいやきものの世界です。 |